大道具スタッフとは
デザイナーが、演出やイベントの制作者と協力して、舞台やセットのデザインを考えます。デザインが出来上がりましたら、実際に大道具スタッフが木材、鉄骨、金属、布地を使い施工します。舞台やセットのデザインに合わせて、大道具スタッフは材料を切削、加工したり、必要な形状を作り出す場合もあります。
また、完成したあとも演出によっては舞台やセットの移動やセットの配置なども担当します。
舞台やセットが照明、音響、映像、特殊効果と協調して、それぞれのステージにあるドラマチックな効果を生み出すことを目指し、
舞台やセットの製作に携わるだけでなく、その移動やセットの配置も調整するなどその一つ一つに、責任を持って取り組みます。
大道具スタッフの仕事は、裏方での作業が多いため、目立つ仕事ではありませんが、作品の完成に大きく貢献し訪れた観客を魅了できる職業です。
コンサート、ライブ施工での大道具の仕事例
01
打合せ、墨出し
演出家や美術監督が考えたセットのデザインを基に、実際にセットを製作する作業前に、その日携わる大道具スタッフ全員で打合せ。安全面や、作業の流れを確認します。打合せが終わったら、セット全体の重要な墨出しをします。図面に細やかな数字が書いてあり、セットにかかわる様々な基準の線を出していきます。
02
セットの天井となる部分の施工
コンサート演出に大切な、照明や特殊効果の機材を取り付けるために使う「トラス」という部材で、セットの天井となる部分を施工します。同時に、音響機材や映像を吊るための部分も施工します。チェーンが付いたモーターを会場の天井に固定し、「トラス」を吊り上げる作業です。
03
舞台基礎(土台)の施工
セットの大きな土台部分となる基礎舞台を施工します。鉄骨の柱や横材をつなげ、水平をしっかりとり、高さレベルを合わせます。骨組みが出来上がると、次は天場(てんば)となる部分を骨組みにはめていきます。天場がはまると、基礎舞台は完成です。これで人が、舞台上にあがることができます。
04
上物(うわもの)舞台の施工、化粧
基礎舞台ができあがり、いよいよそのコンサートやイベントの「デザイン」が見えてくる部分の施工です。基礎舞台は、様々なコンサートやイベントでもほとんど変わりはないですが、ここから上物の部分が、デザイナーや演出の色が出る場所で、セットの顔となる部分になります。
コンサートツアーで全国をまわる場合は、上物をもち込み、どこの会場でも同じように施工します。上物が出来上がると、「化粧」といわれるセット施工の最後の作業です。幕や木工パネルを基礎や上物に付けていきます
05
リハーサルや本番
舞台上での演出に必要な「手」を担当します。演出の進行に応じて、舞台上のセットを移動する作業や、演者が舞台上で必要とする物の準備やセットの修正などをします。セットが重たい場合や移動の場所が狭い場合などは、本番中も裏側で動き回ります。アイドルなどのコンサートの場合は、演者が乗って移動するトロッコと呼ばれるものを押すのも、仕事となります。
06
総撤去
本番が終了した後はセットを撤去します。施工にかかった時間の約3分の1以下の時間で会場を元に戻す作業です。
施工時よりも時間が早い分、危険も伴うので怪我に細心の注意を払いながら作業します。